ネイルファイルは4種類ありますが、それぞれ用途と使い方が違います。用途に合った使い方をしなければ、「削りたいのに削れない」「サンディングしたいだけなのに爪がえぐれた」といったトラブルが起きてしまいます。
この記事ではネイリストのHIYOKOが、ネイルファイルの種類とそれぞれの用途、使い方を解説します。記事を読めばネイルファイルの基本がすべてわかります。
ネイルファイル(爪やすり)とは?種類と呼び名
ネイルファイル(爪やすり)とは、爪の先端を削ったり爪の表面をなめらかにする道具の総称です。ネイリストの世界ではネイルファイルということが多いです。
ちなみに日本化粧品技術者会(学術団体)では爪やすりは下記のように定義されています。
爪みがき用品の一つで、表面がざらざらの板状のもの.爪の先端を削ったりこすったりして爪表面の凹凸を滑らかにする.目の粗さは種々あるが、一般に粗いものは爪の先端形状を整えるために、細かいものは爪表面のつや出しのためにそれぞれ使用する
ネイルファイル(爪やすり)には
- エメリーボード
- ウォッシャブルファイル
- スポンジバッファ
- シャイナー
の4種類があります。
ただ、ウォッシャブルファイルをゼブラファイルと呼ぶ方も居たりして呼称は人によってまちまちです。
ネイルファイル(爪やすり)の種類と用途
4種類ある爪やすりの用途をまとめました。用途に応じた爪やすりを使うのが重要です。
なぜなら、爪の表面を整えるスポンジバッファで自爪の長さを短くしようとしても時間かかりすぎるし(削れないし)、エメリーボードで爪の表面にツヤを出そうとしてもとうてい無理だからです。
アマゾンで爪やすりのレビューなんかを見てると、やりたいことができなかった!という口コミをたまに見かけますが、用途を間違えている方が多いです。
エメリーボードの用途
エメリーボードは自爪の長さを短くしたり、形を整えるときに使用します。材質はいくつか種類があります。
材質 | 価格 | 耐久性 | 見た目 | 初心者おすすめ度 |
紙製 | 安い | 低 | かわいくない | ★★★★★ |
ガラス製 | 普通 | 中 | かわいい | ★☆☆☆☆ |
ステンレス製 | 普通 | 高 | 人による | ★★★☆☆ |
ダイヤモンド加工 | 高価 | 高 | 人による | ★★★★☆ |
比較的メジャーな4種をあげましたが、探せばもっといろいろな材質があるかも。
紙製とダイヤモンド加工されたエメリーボードはネイリストも使います。ステンレスもないことはない…けど、やっぱり一番使うのは紙製かな、という感じ。
ガラス製はネイリストで使っている人を見たことがありません。のわりに一般的には普及している印象があります。見た目かな?使い勝手はともかく、おしゃれな感じがプレゼントには喜ばれそうな感じがします。
紙製のエメリーボードの特徴
初心者さんに一番おすすめです。プロ用であっても価格が安い(数百円)のが特徴。耐久性は低めですが、ステンレス製などには劣るものの、セルフネイルで使用する程度であれば半年以上はもつはずです。
紙であるがゆえにしなって力が分散されるため、削りすぎることがほぼないです。初心者さんの場合手に力が入ってしまうことが多く、ガラスやステンレスだと削りすぎたりケガをしてしまうことも多いです。
価格・ケガのリスクを考慮すると、まず最初は紙製のエメリーボードをおすすめします。
紙製は使い捨てですが、プロ用であれば後述するお手入れの方法で清潔にすることで半年程度は使うことができます。
おすすめプロ用エメリーボードはこちら。
エメリーボードのそのほかのおすすめも紹介しています。初めてならこちらから気分がアガる見た目のものを選んだらいいかなと思います。
ガラス製のエメリーボードの特徴
ガラス製は一生使えるとセールストークされることが多いですが、4つの中で唯一落としたら割れるエメリーボードです。
デザイン性には優れていますがプロ用製品はなかなか無く(落としたら割れるとあっては需要ナシ)、粗悪品も多く出回っているため注意が必要です。
また、紙製と違ってしなりがないため削りすぎにも気を付ける必要があります。
ガラス製で人気なのはこのあたり。
ガラス製はとにかくかわいいんだよね。いざという時の持ち運び用ならアリな感じです。
ステンレス製のエメリーボードの特徴
ステンレス製ももちがいいのが特徴です。ネイリストでも使っている方はチラホラいます(下記のダイヤモンド加工のほうが需要は高いかも)。
紙製のネイルファイルより薄く仕上げられていることも多く、爪のカーブがきつめの方の爪のサイドにもスッと差し込んで使えるというメリットがあります。一方で、紙製と違ってしなりがないため、初心者さんは削りすぎに気を付ける必要があります。
紙製よりは高いものの、プロ用でも比較的安価に手に入れることができます。
スワダはネイルニッパー(ネイリスト御用達)で有名な日本のブランドです。
こちらはプロ用のネイルブランドが出しているステンレスネイルファイル(人工爪も対応)です。
ダイヤモンド加工のエメリーボードの特徴
やすり面にダイヤモンドの加工をしたもので、削れ具合ともちがいいのが特徴です。ネイルサロンでは紙に次いで使われることが多いです。
こちらも紙製のエメリーボードより薄く仕上げられていることが多く使いやすいですが、紙製と違ってしなりがないため、初心者さんは削りすぎに気を付ける必要があります。
価格は1,500円程度のものから10,000円ほどするものも。
ネイリストだとガンガン使うため摩耗が早めですが、セルフネイルなら一度買えば一生モノになるのではないかな?と思います。
こちらはプロも使う日本ブランドのエメリーボードです。ロングもあるけどショートで十分かなと思います。
ウォッシャブルファイル(ゼブラファイル)の用途
ウォッシャブルファイルは人工爪を削ったり、ジェルネイルをオフしたりするときに使用します。
使い捨ての紙製エメリーボードと違いウォッシャブルの名の通り洗って繰り返し使えます。
自爪には絶対に使いません。削れるどころかエグれてえらいことになります。
おすすめはこちら。
ウォッシャブルファイルのそのほかのおすすめも紹介しています。初めてならこちらから気分がアガる見た目のものを選んだらいいかなと思います。
≫ネイリストおすすめのウォッシャブルファイル(プロ用・それ以外)
スポンジバッファの用途
スポンジバッファは表面がスポンジ状のやわからさを持ったネイルファイルです。爪にフィットするという特徴があり、爪の表面に使用するのが基本の使い方です。
爪の長さを変えることは出来ないので注意が必要です。
ジェルネイルをする前のサンディング、ジェルオフのジェルの残りを取ったり、エメリーボードで削った時に出てくるバリを取るのに使います。
私の最近のお気に入りはミトスです。
スポンジバッファのそのほかのおすすめも紹介しています。初めてならこちらから気分がアガる見た目のものを選んだらいいかなと思います。
シャイナーの用途
シャイナーは表面にツヤを出すときに使用するネイルファイルです。シャイナーがけはバッフィング(バフィング)と言ったりします。
マニキュアを塗る前にシャイナーを使えばツヤん!と塗れてオフも楽になったり、華美な装いは出来ないけど爪をキレイにしておきたい!という方が使う場合が多いです。
男性でもネイルケアとバッフィングのためにネイルサロンに来られる方も居ます(それだけでもニコニコして帰られるのでこちらも幸せな気持ちになるんだわ)。
シャイナーは今のところフリーリアが一番おすすめです。プロ用シャイナーの中でもダントツでツルピカになります。
ネイルファイルの持ち方とセルフネイル時の使い方のコツ
ネイルファイルを効果的に使うには正しい技術と知識が必要です。たかがネイルケアですが、ケガをするリスクがあります。仕上がりにも影響します。
爪の長さ形を整える(ファイリング)する時の持ち方と使い方
対象のネイルファイル:エメリーボード・ウォッシャブルファイル
ファイリングをする時に重要なのは次の3つです。
- 持ち方
- 角度
- 力加減
ファイリングは簡単なように見えて技術が詰まっているのである程度の練習が必要です。最初はとにかくケガをしないように気を付ける(=ゆっくりやる)のが重要です。
基本の持ち方
親指・人差し指・中指でつまみます。「つまむ」という感覚がめちゃ重要です。
慣れないうちは気づいたら薬指を含めた4本の指でしっかり力を入れて持ってしまっていたり…。そうするとエメリーボードがしなりすぎてハネたり、カリカリ(ザリザリ)削れすぎて、削りすぎ・爪の割れにつながります。
ウォッシャブルファイルでネイルチップを削ってるときは、力が強すぎるとどこかへ飛んでいきます。
ネイルファイルを使う際の力加減はペンで文字を書く程度かな?と思います。削った時の音はスッスッ(サッサッ)くらいが目安です。
セルフネイル時の基本の使い方
エメリーボード・ウォッシャブルファイルの使い方の順番は3ステップ(黒→赤→青)です。
- ステップ1:長さを短くする
- ステップ2:サイドを整える
- ステップ3:コーナーを整える(全体の形を整える)
爪の先にバリ(もけもけしたやつ)があればこの後バリ取りをして完成です。
爪の形はいろいろあります。(1)~(3)の場合、「ステップ1:長さを短くする」ときにエメリーボードと爪の角度を45度程度に保って削ると楕円っぽく削れます。
逆に(4)(5)のような爪の形にしたい場合は90度に保つ必要があります。
爪の表面を整える時の持ち方と使い方
対象のネイルファイル:スポンジバッファ・シャイナー
スポンジバッファは力を入れないことがポイントとなりますが、シャイナーはしっかり圧をかけてバッフィングするのがポイントです。
基本の持ち方
親指と人差し指の間の部分を爪に当ててサンディングやバッフィングを行います。
バリ取りの時はこんな感じで持つ方がバリが取りやすいです。
爪のサイドをサンディングする時も上記画像の持ち方をしてもいいです。
セルフネイル時の基本の使い方
サンディングは爪の表面に傷がつけばいいので親指と人差し指の間隔は広めにとって、軽いタッチで傷をつけていきます。
バッフィングは人差し指の間隔を狭くしてしっかり圧をかけて往復がけすることでツヤツヤキランな爪になります。
シャイナーは目(グリット)が細かく詰まりやすいため、バッフィング前に手についた爪のかすなどはダストブラシで払ってきれいな状態にしておくのもポイントです。シャイナーの寿命が延びます。
ダストブラシは安価なものからプロ用までいろいろ持っていますが、違いは毛の密度かなという感じ。安くてもケガをするわけじゃないので、セルフネイルなら見た目で選んでもOKです。
バリ取りは手を裏返して取るのが取りやすいかな?と思います。厳密なルールがあるわけではないので、自分のやりやすいバリの取り方でも問題ありません。
ネイルファイルの手入れと洗い方3ステップ
ネイルファイルをキレイにしておくことは美しい爪を保つための重要なポイントです。汚れが付着したままだと菌が増殖して次回使った時に感染してしまうリスクがあります。
ネイルファイルのお手入れ方法は3ステップです。
素材によって適切な洗浄方法が異なるため、それぞれの特徴を理解することが大切です。
水洗いの手順とポイント
常温の流水でネイルファイルの表面を優しく洗います。爪の粉やほこりを確実に落とすため、かためのブラシを使って付着した汚れを取り除きます。特に目(グリット)が粗い面は、爪のかすが残りやすいので、丁寧にこすります。力を入れる必要はありません。
● エメリーボード・ウォッシャブルファイル
プロ用の紙製エメリーボードは洗ってもふやけることなく普通に使えます(あくまで個人の経験ですが)。長時間水に漬けないこと、5秒~10秒くらいの水洗いで終わらすこと(流水でサッと流してブラシでこする)がポイントです。
● スポンジバッファ
スポンジバッファは流水で流すのみにとどめます。やわらかいためブラシでこすると表面が傷ついてしまう可能性があります。
● シャイナー
賛否あるかと思いますが、私はセルフネイル用のシャイナーは洗いません。仕上げに使用するもので爪のかすが付くこともほぼいことと、目が細かく繊細だから(あまり触りたくない)です。
気になる方はスポンジバッファと同じお手入れ方法をするといいです。
消毒の手順とポイント
水洗い後、エタノールや消毒用アルコールを両面に吹きかけます。吹きかけた後はキッチンペーパーで軽く押さえて拭き取ります。
乾燥の手順とポイント
洗浄・消毒後は、直射日光を避けた風通しの良い場所で自然乾燥させます。
乾燥時は、ファイルを立てかけたり、専用のスタンドを使用したりすることで、両面が均等に乾燥し、雑菌の繁殖を防ぐことができます。保管前に完全に乾燥させることで、次回も清潔な状態で使用することができます。
ネイルファイルの保管方法
ネイルファイルの保管は下記がポイントです。
- ほこりがつかないように密閉する
- 直射日光を避ける
ネイルファイル類はとにかく目(グリット)にダスト(ゴミ・ほこりなど)が詰まらないようにすることが重要です。目が詰まってしまうと削れなくなります。ネイルファイルの中でもスポンジバッファは直射日光に当たると劣化しやすいので特に注意が必要です。
私がミスって劣化させてしまったやつ(悲↓
ほぼ使ってないのに左端がうっすら黄ばんでしまっています。
ネイルファイルの替え時・交換のタイミング
交換のタイミングは見た目でわかります。
目(グリット)は明らかに摩耗してなくなるし、スポンジバッファはモロモロして使えたもんじゃなくなります。
まだ使えるかな?と思う間は使ってOKです(別にケガをしたりするわけじゃないし)。ただ、劣化したネイルファイルは当然削れにくくなっているため、ファイリングするのも時間がかかるし、サンディングもしづらいです。
見た目とともに「やりにくいな」と感じたタイミングで交換するといいでしょう。
まとめ ネイリストが解説!ネイルファイルの種類と使い方って?【初心者向け完全ガイド】
ネイルファイルはプロ用でもそれほど高価ではありません。使いやすさと耐久性を考えると初めての一本はぜひプロ用を使ってほしいなぁと思います。
今100均のネイルファイルを使われてる方がもしいたら、プロ用を試していただければ使いやすさの違いに驚くはずです(私がまさにそうだったので)。
ネイルファイル以外の道具についてはこちらで詳しく紹介しています。
おすすめのネイルファイルはこちら。
ネイルの基礎を学ぶならこちらのテキストもおすすめです。ネイル検定3級(ネイルの資格)でおすすめの教科書ですが、ネイルの基本(道具の管理~使い方~塗り方まで)が網羅されています。
ではでは、みなさんのセルフネイルが少しでも楽しくなりますように!今回はこの辺で。
コメントする